季節のお花紹介(8月)

 平年より長かった梅雨も明け、本格的な夏の到来となりました。梅雨が明けた途端に、気温も上がり、夏雲が空を覆う暑い日が続いています。高温多湿の日本の夏は植物にとっては厳しい時期ですが、日本原産の夏の花であるキキョウは、その涼しげな花色で夏花壇に華やかさとともに清涼感を与えてくれます。

キキョウは秋の季語や秋の七草の一つでもあるように、秋の花のイメージが強いのですが、その開花期は初夏から初秋にかけてで、真夏の時期に花の盛りを迎えます。まっすぐに伸びた茎の先に、均整のとれた星形の花を咲かせる優美な花姿は、古くから人々に愛され、さまざま園芸品種がつくられるだけでなく、家紋のモチーフとしても好んで使用されました(桔梗紋)。

キキョウの園芸品種には様々な種類がありますが、野生のキキョウは、生育に適した山野や草地の減少などにより絶滅危惧種に指定され、その原種は希少なものとなりました。花壇には園芸品種のキキョウを植栽し、どこか懐かしい風情の日本の花の面影をとどめておきたいものです。